こんにちは。HIROです。
今回は住宅ローンの金利の話をしたいと思います。
僕は新卒で銀行に就職して6年間勤務してきました。
リテール営業の期間も相応に長く、多くの方にアドバイスをしてきた経験があります。
・住宅ローンを借りることを検討している
・住宅ローンを現在借りている
こんな人たちの参考になれば嬉しいです。
元銀行員から見た、ちょっとした裏話的な感じです。

住宅ローンの金利はなぜ低いのか?
そもそも、住宅ローンの基本的な話をしたいと思います。
住宅ローンは、いわゆる家を購入するときに利用するローンのことです。
色々な金融機関で取り扱われています。
家そのものの金額はもちろん、住宅関連費用として、仲介手数料・登記費用・火災保険料・リフォーム資金・収入印紙代なんかも住宅ローンに含めることができます。
ローンにも、様々な形態があります。
教育ローンやマイカーローン、カードローンなどですね。
住宅ローンは他のローンよりも金利が低く設定されています。
まず、
資金使途が明確になっているローン商品は金利が低いということです。
何のためにそのお金が使用されるか明確であるため、貸す側から見ても安心感があり、それこそが信用に繋がります。つまりは金利は低くなるのです。
そして、住宅ローンの場合、他のローンよりも高額になるケースが多く、返済期間も長いため、金利が3~4%とかだと、家を購入する人は限られてきますよね。
20年くらい前に遡れば、4%程度で住宅ローンを借りることは、まぁ普通だったんですけどね。。。
詳しいことはわかりませんが、より多くの人の家を持ちたいという理想を叶えるために、住宅ローンの金利は低く設定するのが一般的になっていったように思います。

変動金利か?固定金利か?
住宅ローンを借りようとしている人・借りている人からすれば、当然気になるのは金利の話ですよね。
そして、当然金利は低い方にこしたことはないんですけど、
変動金利で借りるのが良いのか?それとも、固定金利の方が得なのか?
よく議論になるところですよね。
僕は銀行員時代、多くの住宅ローンの案件に携わってきましたが、金利の設定で迷う人がホントに多かったので、今日は少しでも役に立てればと思っています。
家を購入するとなったら、
・土地を購入して家を建てる
・すでに所有している土地上に家を建てる
・すでに建っている物件を土地含めて購入する
・マンションを購入する
このあたりのパターンが一般的かと思います。
そして、土地や建売の購入の場合は不動産屋さん、
家を建てるとなったらハウスメーカーの営業マン、
そのような方が窓口になるのが一般的ですよね。
そして、このような不動産に関連する業者の営業マンは、各銀行にパイプを構築しているのが一般的で、
営業マン経由で、住宅ローンを借りる金融機関を紹介してもらったり、っていうケースが多いと思います。
そして、
不動産に関する営業マンは、最近であれば「変動金利」をおすすめするパターンが多いのではないでしょうか??
なぜなら、
変動金利のほうが、目先の金利は低く抑えられ、目先の毎月返済額も当然低くなるからです。
「この程度の返済額で、マイホームが手に入りますよ。」という営業トークもよく耳にします。
しかしながら、
不動産の営業マンから変動金利をお勧めされていたものの、ローンの審査⇒契約の流れの中で、
僕が対応したお客さんは、90%以上の確率で、固定金利で借りるという意思決定をしています。

どっちが得なの?
変動金利と固定金利、どっちが得なのか?
僕もよく聞かれていました。
その質問に対する答えは、「それは分かりません。」ということです。
「はっ??」となりますが、
これは本当に分かりません。
未来の金利がどのようになるのか、今の日本の状況を見ていて、すべてを予測するなんて不可能です。
大切なことは、どちらが得かという視点ではなく、金利に対する考え方です。
銀行員目線で見たときに、
変動金利=債務者が未来の金利変動リスクを負う
固定金利=銀行が未来の金利変動リスクを負う
という考え方が成り立ちます。
つまり、変動金利で借り入れをするということは、あなた自身が未来の金利変動リスクを負うということになるのです。
変動金利を選んでもらうと、銀行は金利についてはリスクを負わなくてもよいので、全然痛くないんですよね。
反対に、固定金利の場合、例えば全期間固定金利を選択された場合、35年先の金利変動リスクまで銀行が背負うということになるので、銀行側として結構苦しいんですよね。
だからこそ、変動金利よりも金利が高く設定されるわけです。
変動金利よりも金利が高いのであれば、固定を選ばないほうが良いのでは?
そういう質問は多くありました。
しかし、35年先の金利変動リスクを負うという銀行の立場からすると、
わずか1%台で、それだけのリスクを負うというのは、かなりしんどいことなのです。
この考え方に乗っ取れば、全期間固定を選択した瞬間に、債務者側が背負う金利変動リスクはゼロになるので、賢い人ほど固定金利を選んでいくのです。

大切なのはリスクに対する考え方
大切なことは、リスクに対する考え方、つまりはリスクヘッジです。
「ここ数年に遡れば、変動金利でも全然金利が変わっていないから変動金利でもいい。」というのは安直な考えだと僕は思います。
なぜなら、リスクヘッジというのは、過去ではなく未来に対して行うものだからです。
・固定を選択している期間は自分はノーリスク
・少々返済額は増えるけど、ノーリスクの対価としては低い
上記が、元銀行員が考える視点です。

固定金利の期間は?
固定金利の期間も実は重要です。
35年ずっと金利が変わらない全期間固定金利。
また、借入当初~、ある一定の期間を固定、その後は変動か固定かその都度選んでいく、固定変動選択型という形態があります。
この辺りは、ご自身が、どのくらいの期間でローンを払い終えようと考えているのかで設定するのがよろしいかと思います。
今後のライフプランも勘案して、子供はこのくらいの人数欲しいから、教育資金のことも考えて長めの固定がいいとか、共働きだし20年くらいで返し終わりたいという考えなんかもアリだと思います。
僕だったら、迷いなく全期間固定を選びたいところですが、収入の状況も様々なので、この辺りは正直、債務者の状況で変わっていく部分ですね。
そして、もう一つ重要なポイントは、すべての金融機関が固定金利を積極的に推進しているわけではない、ということです。
前述の通り、固定金利=銀行がリスクを負うという考え方なので、固定金利を選択されれば銀行として苦しい、ということがあります。
つまり、銀行としての経営状態に、このあたりの金利設定は左右されるのです。
あまり規模が大きくない、もしくは経営状態に不安がある銀行は、全期間固定のような長期に渡る金利変動リスクを負うのは難しいという判断で、そもそも全期間固定金利のような商品を取り扱っていない銀行もあったりするのです。

最終的には自分の考え方次第
今回は、銀行員という目線から、金利におけるリスクの考え方をお話ししてきました。
住宅ローンにおいて、どっちが得か?という視点は考えても意味がない部分なのです。
大切なのはリスクの考え方です。
そして、
これらのリスクについても勘案した上で、そのリスクを負ってでも変動金利を選択する、というのは、僕個人的には全然ありだと思っています。
目先の返済額にこだわらなければならない人も大勢いるからです。
ただ、
このようなリスクに対する考え方についても、債務者となる皆様に、しっかりご理解いただいた上で、意思決定をしてほしいという思いがあります。
一生に何度もあるようなことではない、住宅ローンを借りるということ。
決して、誰かに委ねたり、、周囲の人の意見を鵜呑みにするのではなく、
ご自身の価値観と向き合って、納得のいく形で、人生の一大イベントである住宅ローンに関する意思決定をしてほしいなと、願っています。
